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上火=のぼせる??

皆さまは「上火shàng huǒ)」という中国語を耳にしたことはありますか?

この単語を辞書で引くと「のぼせる」「怒る」と記載されています。しかしながら、実際には日本語話者が一般的に想像する「のぼせる」という感覚とは少し異なるようです。

 

例えば…「热带水果不能贪吃,如芒果、菠萝吃多了,很容易上火。」という文を、辞書に基づき訳するならば、「マンゴーやパイナップルといった熱帯果物の食べ過ぎは、のぼせ易いのでむさぼり食べてはいけない。」となります。

しかし日本語話者にとって、果物の食べ過ぎで「のぼせる」という感覚はあまりぴんと来ないでしょう。

 

それもそのはず、この「上火」という感覚は中医学由来するからです。中医学において、食べ物は「」「」「」「」という4つの性質(食性)に分類されます。

大まかに言うならば「体を温める食べ物」と「体を冷やす食べ物」ということになります。上記で述べた熱帯果物であれば、マンゴーやパイナップルをはじめ、ライチやドリアン等が、熱性の食べ物として分類されます。そしてこれらの果物を食べ過ぎた時に、便秘や口腔内の出来物、のどの渇きなどが引き起こされることがあります。すなわち、これらの症状のことをまとめて「上火」と表現されるのです。

 

他にも、体を温める効果のある辛い食べ物やアルコールを摂取したとき、高温多湿の環境に長時間いたとき、緊張や寝不足等により生じる体の不調を「上火」と言い表すことが出来ます。

先に述べたような、便秘や口腔内の異常はもちろん、目の充血やニキビの発生、発熱等を指し示すことがあります。よって、体の火照りやめまいを意味する日本語の「のぼせる」という訳では、表現し切れないことが分かりますeye

 

このように、言語は文化的背景や慣習に依るところも大きく、学習者にとって実際の意図をくみ取ることが難しいこともあります。字面の印象や辞書の意味だけにとらわれることなく、映画やドラマを見たり、ネイティブスピーカーとの会話を楽しんだりと「生きた中国語」を学んでいきましょうsign03

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