2006 09 / 12

住所不定無職

数年前まで、私の通勤路の遊歩道にホームレスの人たちが住んでいた。
雪の北海道で、どうやって冬を越しているのか?といった外野の心配をよそに、実にたくましく生活していた。テントあり、ベニヤ板を巧みに組み合わせた家ありと、個性的な家並みがこちらの想像をふくらませる。正月になるとしめ飾りを入り口に下げている家があったり、日々きちんと洗濯物を干しているお宅があったり。女性のホームレスが居ることにも驚いたし、文庫本を熱心に読んでいるインテリ風の中年男性も居た。毎朝ハトに餌を与えているおじさんには「自分の食事は大丈夫なのだろうか?」と思ったものだが、夜になるとささやかな宴会を開いている様子もあり、彼らの営みには、日々あくせく働く日本人とは違った、ゆったりとした空気が確かに流れているようだった。

我々は、一定の職を持ち、居住地を持つのが正しいと思っているし、常識と言われる世の中の仕組みや法律の中で、さほど疑問も持たず生活している。でも彼らを見て、仕事も、住民票も持たない人生とは、いったいどのようなものなのだろう?と関心を抱いていた。勿論、やむを得ずホームレス生活に陥った人もいるだろうが、そうではない人も中には居るのではないか?一般人は同情を寄せたり、眉をひそめたりするけれども、案外、快適に生活している人も一部には居るのではないか?人として生まれたからには、絶対仕事をしなければならないのか?などなど。キャリアカウンセリングでよく言う人生観、仕事観を、真っ向から否定してみると、自分の目からウロコが落ちてしまった。個人の幸せの尺度は、他人が勝手に測れるものではない。“あるべき姿”を我々は抱きすぎ、他人に強要してはいないか?少なくとも、そういった疑問を持ちながらこの仕事をする必要があると感じた。

行政の方針で、その後ホームレスの住居がいっせいに撤去され、跡地は使用できないように工事されてしまった。彼らは今どうしているのだろう?

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働くだけが・・・?

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